2017/03/27
赤ちゃんも起きている時間が増え、だんだんコミュニケーションが取れるようになってくると、どんな接し方をすれば良いのか迷います。
赤ちゃんのお世話をする経験って、あまりありませんよね。保育士の勉強をしたわけでも無いし、話かけをすることくらいしか知りません。この、脳が発達している時期にどんなことをしてあげれば良いのでしょう?
ちょっと調べてみたら、胎児の頃から知育の働きかけをしているなんて話も見かけました。
幼児期の教育については、アメリカの研究結果も出ているようで「早ければ早いほうが効果が高い」とか・・・。
そんな事を知ると、だんだん焦ってきますね!
そこで今回は、乳幼児の教育と、その効果について調べてみました。
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乳幼児教育(就学前教育)の研究
アメリカで行われた、ジェームズ・J・ヘックマン教授による「ペリー就学前プロジェクト」、「アベセダリアンプロジェクト」という興味深い研究があります。
ともに小学校就学前の期間に質のよい教育を受けさせ、比較する実験です。子供が成人するまで追跡調査が行われています。ペリー就学前プロジェクトについては、現在も50歳の時点での調査がされています。
追跡調査の結果
両方のプロジェクトにおいて、教育を受けた子供は受けなかった子供と比較して、様々な面でよい結果を得ました。
「学力が高い」、「学歴が高い」、「収入が多い」、「持ち家率が高い」。また、犯罪を犯して逮捕される率が少なかったそうです。
ただし、IQを高める効果については小さいようです。しかしIQ以外の能力については、効果は継続しているそうです。
その中で注目されているのが「非認知能力」です。
「非認知能力」とは
- 目標を達成する力・・・「忍耐力」「自己抑制」「意欲」等
- 他者と協調する力・・・「社交性」「協調性」「信頼」「敬意」「思いやり」等
- 情動を制御する力・・・「自尊心」「自信」等
幼児期にこういった非認知能力を伸ばすことが人生の土台となり、学歴や収入、将来の成功などにつながることがわかってきました。
非認知スキルは認知スキル(知識・思考・経験を獲得する能力、また獲得した知識を基に考える能力)と互いに影響を及ぼし合い、発達していきます。
どのような教育を行ったか
「ペリー就学前プロジェクト」
ペリー就学前プロジェクトは、アメリカのミシガン州で1962~1967年に実施されました。対象となったのは、所得の低い世帯の就学前の子供です。子供たちは保育施設で毎日2時間半の授業を受け、週に1回は教師が各家庭に対して90分間指導をしました。
指導プログラムは、子供の年齢及び能力に応じて、それぞれ内容を調整して行われました。特に子供の「自発性」に重点が置かれています。子供自身が考え出した「遊び」を反復させ、また、集団の中で社会性を学ばせました。この就学前教育は30週間にわたって行われています。
就学前教育を受けた子供と、受けなかった子供を、40歳まで追跡調査済みです。現在50歳時点での調査をしているそうです。
「アベセダリアンプロジェクト」
アベセダリアンプロジェクトは、1972から1977年にかけて、リスクの高い家庭の乳幼児111人に対し実施されました。対象となる年齢は4.4ヶ月~8歳です。
5年間、託児施設において1日6~8時間、週5日の教育が行われました。認知能力、適応行動スキル、言語発達を育成する教育的ゲームが行われ、特に言語発達に重点が置かれました。
教師と子どもの人数比は、低年齢児において教師1人に対し子供3人、年齢が上がると教師1人に対し子供6人。指導内容は子供一人一人に応じて、個別に調整されたものになっています。
個人的に重要と思う点
・就学前の、できるだけ早い時点で介入する。・・・社会情動的スキルが青年期以降も影響し続ける。早期のスキルの発達が、その後に積み重なる。
・子供の能力等により、個別に対応する。・・・個人差を認め、子に応じて柔軟に対応できる。
・教師と子供の人数比が低い。・・・一人一人に目が届き、きめ細かい対応ができる。
・言語発達や自発性を重んじる。・・・言語能力を基本とし、自ら考え、判断する能力を磨く。
質のよい教育を受ける、というのは以上のような要素を含むものだと思いました。
詰め込みによる早期教育には疑問がありますが、幼児のうちから非認知スキルを高めておくことには有意性を感じます。
残念なのは、具体的な働きかけの方法が明記されている文献等が見当たらないこと。
経験則による「こうしたら良かった」という話しかありません。
ベストな方法は、こども一人一人によって違う、ということでしょうか。
様々な情報の中から、自分の子に合ったやり方を見つけるしかなさそうです。
これについてはもっと整理して、一般化できることをまとめてみようと思います。